本書では、江戸時代のライフスタイルが、現代人の視点で見たストーリー仕立てで記されています。
江戸の人々が、いかに持続可能で、地球にやさしい生活を送っていたか知ることができます。
著者による細かいイラストが、また楽しい。
物語の舞台は、江戸時代後期。
主人公である私たちが、友人である農民、町人、武士を訪ねて、それぞれ「自給自足で生きる農民の豊かな暮らし」、「大いなる工夫でサステナブルに暮らす町人の暮らし」、「実用的な美を重んじる武士の暮らし」を少しずつ覗かせてもらいます。
田畑と森に囲まれた農村では、自給自足がいきわたる暮らしです。たいていの道具や備品は自分たちで作ってしまいます。
こわれたものは切って形を変え、別の道具にしたり、様々なものが再利用されていました。壊れた農具の木枠が斧の柄になり、それが壊れるとひしゃくになり、その後薪となり、灰は肥料として畑に戻る。衣類も何度も再利用して、やがて雑巾になり、細いひも状に切って編み、わらじとなり、たい肥化、燃料にする。見事な循環する生活です。
町でも、ほとんどのものは修理可能で、修理できないものでも、多くはリサイクルされます。
鉄の鍋、工具などの金属製品、銅製品、家具など、様々なものの修理屋やリサイクル業者が町を歩き回り、定期的に巡回してきては一流の仕事をしてくれるのです。徹底したリサイクルをして、最後は土に戻す。
「足るを知る」
「もったいない」
「持続可能」
「自給自足」
「リサイクル」
それが特別なことではなく、だれにとっても当たり前のこととして生活に息づいていたんだなと思います。
「江戸時代の日本人は実に賢明で美しいライフスタイルを持っていた」と、著者のアズビー・ブラウンさん書いています。けれど同時に「私は日本の読者がこの本を読んで、わが身を振り返ってほしいとも願っている」とも。日本人が江戸時代に成し遂げたことのほとんどを捨て去ってしまったことを嘆き、本書を「日本の人々への尊敬と称賛の気持ちと同時に、いくぶんかの苦言を込めてお届けしたい」とされています。
江戸時代の生活に戻ることは難しいですが、学べることが沢山ありそうです。日本にそんなすごい時代があったことを、誇りに思わせてくれる一冊です。
江戸とはかけ離れた生活ですが、「足るを知る」「もったいない」などの精神は、私たちの中に今でも残っているんじゃないかなあと感じます。
江戸東京博物館が3月31日にリニューアルオープンするようなので、機会があれば訪れてみたいです。